×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

朝の食卓

トップページ

◆「天使の微笑み」

◆「四千字の世界」

◆「三島由紀夫」

◆「トーク・トーク」

◆「犬が欲しい」

◆随筆あれこれ

◆コラムあれこれ

◆木下順一 年譜

◆木下順一の本

◆パステル画

◆思い出のアルバム

◇北海道新聞
朝刊コラム
「朝の食卓」


◇娘のつぶやき


父との写真

昭和59年5月
父と鎌倉にて


横断歩道


 「怖い」と感じて、どうしても通れない横断歩道がある。それは今年の2月に転倒し、左足大腿(だいたい)骨を複雑骨折した家の近くの横断歩道だ。今はリハビリの帰りは地下鉄と徒歩で帰宅できるまでに回復した。途中、スーパーで買い物をして、軽い荷物ならリュックに詰めて、つえをつきながら20分の道のりを歩くこともできるようになった。ところが2月に転倒した道路だけは渡ることができない。急に心拍数があがり、歩けなくなってしまうのだ。反対側の歩道を通り家路につく。
 しかし、先日ちょうど青信号になったので、思いきって渡ってみた。今は冬の凍結路面でないから大丈夫だと、何度も自分に言いきかせ、ゆっくり呼吸をして歩いた。もちろん転ぶことなく渡りきったが、振り向いて歩道から交差点の4カ所の横断歩道を見ると、私が転倒した道路のアスファルトが削れ、白線が一番消えていた。なるほど、この道は普段から車の往来が多く、冬はとくに圧雪がツルツルになり滑りやすい場所だったのだ。同じ場所で人が転んだのを見たことがあるし、夫と友人もこの横断歩道で以前に転倒していたことも知った。
 「怖い」という感覚は、身を守るための大切な反応だという。今年の冬は、この道を通ることはないだろう。
(2016年7月28日 北海道新聞全道版)


<次のコラム>